ニュース2021.08.18

【コラム】ストレッチフィルムの種類

ストレッチフィルムの種類

物流に携わる方なら毎日のように目にするストレッチフィルムですが、どのような種類があるのか詳しく知っている方は意外と少ないのではないでしょうか。

そこで今回は、複数のメーカーを取り扱う総合商社だからこそ伝えられる、ストレッチフィルムの最新情報をお伝えできればと思っております。本記事の執筆は包装コンサルタントの資格を持ちます、清川悠佑が務めます。

本記事は、「ストレッチフィルムの種類について知りたい!」「厚みとか色々あるけど結局どれを使うのがいいの?」「価格変動の要因って何なの?」といったご要望や疑問をお持ちの方におススメの記事となっております!何かのお役に立てれば幸いです。

目次

1.ストレッチフィルムの種類は大きく分けて3つ
 1.1.手巻きストレッチフィルム
  1.1.1.レスコア(ノンコア)・2.5インチ紙管
  1.1.2.エッジ強化タイプ
 1.2.機械巻きストレッチフィルム
  1.2.1.プレストレッチ
  1.2.2.パワーストレッチ
 1.3.ミニストレッチフィルム

2.幅は基本500mm、主な違いは厚み

3.海外製と日本製の差は?

4.最新のメーカー事情は「薄く・安く」

5.価格変動の要因って結局何なの?
 5.1.ナフサ(原料)価格
 5.2.輸入コスト(為替レート)
 5.3.配送コスト


ストレッチフィルムの種類は大きく分けて3つ

1.手巻きストレッチフィルム

工業用・産業用として広く使われているストレッチフィルムです。名前の通り、手で巻いて使う製品となっています。最近では、簡易型のストレッチ包装機に使うこともできます。

最近では5μ~25μまでと、厚みのラインナップが非常に多くなって来ておりますが、2021年8月現在では手巻きストレッチフィルムの主流は14~15μとなっています。(弊社調べ、お客様・各メーカーからの情報に基づいています)

重量物を梱包する場合には25μなど厚い製品を使うことをおススメいたしますが、全体的には10μや12μをお使いのお客様も多くなっておりますので、一度サンプルを手配して現場の方にお試しいただくことで意外とすんなりコストダウンに繋がるかも知れません。

ただし、フィルムが薄くなると余分に巻いてしまうという声も多くお聞きしますので、作業性も含めてご検討ください。

1.1.レスコア・2.5インチ紙管

紙管を使用していない製品(以下、レスコア)や、中に入っている紙管径が小さい製品もあります。

紙管径が小さい製品は通常の製品よりも安くなりますが、レスコアは製造工程が変わりますので通常の製品よりも高くなっています。その代わり、レスコアは芯を廃棄する必要がないので廃棄する手間とお金を削減できる上、芯を使わないので環境に配慮した製品となっています。

注意点として挙げられることは、ストレッチフィルムを使う際は紙管の中に手を入れて巻いている方が多いのではないかと思いますが、紙管径が小さいと中に手を入れにくくなってしまう為、手の大きい男性からは作業性が悪いという声も目立ちます。

1.2.エッジ強化タイプ

また、ストレッチフィルムと言うと、巻いている最中に端から切れてしまったり、落として端が潰れて巻きづらくなってしまうという経験が誰しもあるのではないでしょうか。

そんな課題に応えるべくメーカー様が開発したのが、エッジ強化タイプと呼ばれるストレッチフィルムの両端が折り返されている製品です。
両端が折り返されていることにより端面の強度が上がり、端が切れにくい上、潰れにくい仕様になっています!

例えば8μの製品ですと両端は16μとなり、単純に16μの通常製品と比べると強度は劣りますが、梱包物の重量等によっては十分代替可能な強度があります。
通常製品と同じ厚みで比べてしまうと高くなりますが、既存製品より薄い製品で代替が可能なので、コストメリットを出すことができます。

中心部分は薄くなっている為、代替前の製品と比べて梱包に使うストレッチフィルム全体の厚みが少なくなり環境にも配慮した製品になっています。

注意しなければならない点としては、段ボールの角のように突起部分も一緒に巻いている場合は、ストレッチフィルムの中心部分が薄くなっている為に破れやすく、既存製品からの代替は難しいケースが多くなります。


※出典:司化成工業株式会社

お見積りの依頼や詳細情報を知りたい方は、こちらからお問い合わせください。

◎まとめ
・主流は14~15μ
・紙管径の小さい製品は、安いが使い勝手が悪く敬遠されるケースも多い
・既存製品よりも薄くする場合は、現場の作業性を確認してからの方がベター
・両端が強化された製品はコストメリットもあり環境にも配慮できるが、梱包物次第

2.機械巻きストレッチフィルム

ストレッチ包装機専用の製品になります。機械にセッティングして使うものになりますので、取り外しの手間を省く為に巻きm数が長くなっているのが特徴です。
「1ヶ月の平均使用量が180巻以上」ある場合は機械巻きにすることでコストメリットの出る可能性が高くなる目安と言われておりますので、自社の使用量と照らし合わせてみてください。

機械巻きは「プレストレッチタイプ」「パワーストレッチタイプ」の2種類に分かれていますので、それぞれの特徴もご紹介します。

ストレッチ包装機に関する詳しい情報は積水樹脂様のサイト司化成工業様のサイトが見やすいと思います。製品動画も載っておりますので、参考にしてください。

2.1.プレストレッチ

2軸延伸により最大3倍までフィルムを伸ばして巻くことができる為、フィルム使用量を大幅に削減できます。

15μを3倍延伸した場合のフィルム厚みは単純計算5μとなり、機械でしっかりと巻かれてはいますが、どうしても横揺れには弱くなりますので、手巻きからの切替や既存製品の厚みを落としてコストダウンを検討の場合は輸送テストの実施をおススメいたします。

◎特徴
・フィルム使用量を大幅に削減できる
・インパクト強度、突刺強度が高い
・柔軟性に優れ、結束が強くなりすぎない

2.2.パワーストレッチ

強靭で粘着性に優れるので、重量物でも荷崩れを起こさないようしっかり巻くことができます。

◎特徴
・強靭性に優れている
・固い結束物の梱包に最適
・荷崩れ防止、汚れ防止に最適

お見積りの依頼やメーカー別・機械別のスペック差など詳細情報が知り合い方は、こちらからお問い合わせください。

3.ミニストレッチフィルム

いわゆるハンディタイプの製品になります。手巻きストレッチの幅は基本500mmとなりますが、こちらは50mm~150mmと片手で持てるサイズ展開になりますので、長尺物や小物などを巻くのに最適です。

小売り店舗や個人で使う分には、手巻きよりもミニの方が汎用性が高いのでおススメです。

幅は基本500mm、主な違いは厚み

ストレッチフィルムは基本的に500mm幅となっています。(ミニを除く)
中には300mm幅の製品もありますが、全ての規格において300mm幅の製品があるわけではなく、あくまでも基本は500mm幅になります。

そのため、製品の差というのは「厚み」に集約されます。メーカーも各社存在しますが、メーカーによる差はほとんどないのが実情です。

仮に「15μ×500mm×300m」の製品を使っている場合、メーカーを切り替えるだけでもコストダウンできる可能性は十分にあります。

参考価格として情報収集したい方は、こちらからお問い合わせください。

海外製と日本製の差は?

ストレッチフィルムにおいては海外製と日本製の差はほとんどありません。そもそも、日本で使われているストレッチフィルムのほとんどが海外製と言っても過言ではありません。

生産コスト等の観点から、日本企業が海外拠点で生産した製品を日本に輸入して販売しているからです。その為、ストレッチフィルムの価格は為替レートの変動による影響を受けやすいのが特徴となっています。

最新のメーカー事情は「薄く・安く」

主流の厚みは先述のとおり14~15μとなっていますが、コスト削減のために薄い製品を使うお客様も多くいらっしゃいます。
また、昨今ではコロナ禍の影響でコスト削減の動きがより活発になって来ておりますので、各メーカー様も「薄く・安く」というニーズに応えて既存製品よりも更に薄い製品が出始めています。

2~3年前までは8μや10μでも薄いと言われていましたが、今では4.5μという驚異的な薄さの製品も販売されています。

また、幅は500mmが主流となっていますが、少しでも安くする為に450mm幅にしてみたりと各メーカーも安価製品の開発には熱が入っています。

価格変動の要因って結局何なの?

最後に、価格変動(値上げ・値下げ)の要因について記載いたします。
メーカーや仕入先によって理由が異なることもあるかと思いますが、一般的には以下の3つが要因と考えられています。

1.ナフサ(原料)価格

ストレッチフィルムの製造には「ナフサ」と呼ばれる原油から取れる原料が使われています。
したがって、原油価格の変動による影響を大きく受けることとなります。
詳細な価格推移につきましては「ナフサ 価格 推移」と検索していただくと価格公表しているサイトがヒットしますので、そちらを参考にしてください。


※出典:石油化学工業協会

2.輸入コスト(為替レート)

海外製品に限った話になりますが、輸入する際の為替レートによって価格に影響が出てきます。

各メーカーはコンテナ単位で在庫を持っているため、既存在庫から出荷している分には為替の影響を受けませんので、為替レートが上がったからと言ってすぐ値上げになるわけではありませんが、継続的に上がっている場合はどこかのタイミングで値上げになる可能性が高くなります。

3.配送コスト

配送コストの上昇が製品価格に転嫁されることもありますが、値上げの理由として一応添えている程度の認識で良いと思います。
物流クライシスといわれる時代ですので、これからも少しずつ配送コストの上昇は行われていくと予測されますが、その影響はどの業界も等しく受けるものとなります。
ストレッチフィルムの価格に関して言えば、配送コストの上昇だけを理由として値上げが行われることは極稀なケースになります。

もしも、原料や輸入コストの上昇が無く、配送コストの上昇だけを理由に値上げと言われた場合は他社動向も含めて慎重に情報収集することをおススメいたします。



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