ニュース2019.03.13

【コラム】紙バンドについて

紙バンドって何?

紙(craft paper)バンド(band=帯)とは、クラフトバンドとも呼ばれており、クラフト紙で作られた帯状になっている製品です。主な用途としては、米袋などの紙袋を縛るのに使われていたり、最近では手芸用としても広く使われています。

【玄米袋(30kg)の画像】口紐に紙バンドが使用されています。

  

製造工程

紙バンドの製造工程を簡潔に表すと
クラフト原紙→小巻にスリット(切る)→撚って紐状にする→紐を数本合わせて糊で接着する
このようになります。
これだけではあまりにもイメージがしにくいと思いますので、こちらをもう少し詳しく説明いたしますと、
1.ロール状になっているクラフト原紙を均一幅で小さくカットしクラフト紙の小巻を作ります。
2.次に、小巻にしたクラフト紙を水に浸します。※1
3.水に浸した小巻のクラフト紙を、機械を使って紐状に撚ります。
4.撚った紙紐を数本合わせて糊で接着し、紙管に巻き取ります。

このような工程を経て、紙バンドは製造されています。
太洋工業では、紙管の内側に製造年月日と製造号機を示す番号をスタンプしており、後のトレーサビリティーも可能となっております。また、製造した紙バンドは、毎日引張強度を測定し、そのデータを保存しております。


※1 乾燥したクラフト紙は硬いので、水に浸して柔らかくしてから、水分が蒸散しないように十分含浸させる為に一晩寝かせます。

起源

製造工程は前述の通りですが、同様の形状と製造方法は日本古来からの水引にそのルーツを見ることが出来ます。紙バンドは松沢楢太郎氏によって創案・試作されたのが始まりですが、昭和29(1954)年6月15日に出願した特許申請は、昭和31(1956)年4月16日付で公告になりましたが、業界の異議申し立てにより再審査となり、昭和初期に類似の先願特許があり、審査の結果受理されず、実用新案に切り替えられました。
昭和30年代に入り、木箱梱包されていた青果物や缶詰などで段ボール箱による梱包が急増し、従来からの帯鋼に替わる梱包資材として紙バンドが脚光を浴びるようになりました。

JA包装園芸資材通信

JA包装園芸資材協会様の発行しているJA包装園芸資材通信にて、包装資材ミニ知識として紙バンドの記事が掲載されております。掲載の許可をいただきましたので、該当記事の切り抜きを添付いたします。是非、併せてご覧ください。
JA包装園芸資材通信No641 包装資材ミニ知識18 「紙バンド」について

太洋工業と紙バンド

太洋工業は松沢氏らの協力の下、昭和29(1954)年から「ストリングバンド」の商品名で製造販売を開始しました。
紙バンドが日本工業規格に制定(JIS Z 1517※2)された昭和34(1959)年には、日本銀行様の現金回送箱にも採用され、昭和36(1961)年には読売新聞社様の新聞包装にも採用されました。
その後、昭和44(1969)年には米麦用紙袋の規格が官報公示され、口紐に紙バンドが採用されることとなりました。米麦紙袋用の口紐用紙バンドの品質と安定供給の確保の為、当時3社が指定され、その内の1社が太洋工業でした。
この米麦紙袋用紙バンドは今では日本全国でも数社しか製造している会社がなく、日本の米産業を支える一端を担っているという自覚をもって、より安全でより高品質な製品を生産するべく日々励んでいます。


※2 この規格は1994年9月1日に廃止されています。

日本の産業を支え続ける紙バンド

段ボールが広く使われるようになって以来、紙バンドは梱包資材・包装資材として活躍してきました。今でも米麦紙袋用の他にも様々な用途で使われてはいますが、技術の進歩によって紙バンドはPPバンドへと姿を変え、今ではそのPPバンドも見かける機会が少なくなってしまいました。
しかし、昨今では環境配慮の面でプラスチック製品の見直しが話題になっています。飲食店のストローやコンビニ・スーパーなどで使われるレジ袋にも注目が集まっている中、より環境に配慮した結束資材として紙バンドが再び脚光を浴びる日も近いかも知れません。


※本記事は、弊社にて記録にある紙バンドにまつわる情報をまとめたものになります。もし万が一、事実と異なる点が御座いましたらご指摘いただけますと幸甚です。